皆様こんにちは。
今日は3月11日。
東日本大震災から6年が過ぎました。
昨年と比べても海岸には防潮堤がそびえ立ち、地盤のかさ上げ工事もだいぶ進みました。
線路は宮城と福島をつなぎ、復興住宅も次々建設されました。
しかしながら今も3万戸近い世帯が仮暮らしをしています。
6年の月日は人々の記憶から悲しみや辛さを薄らげてくれたのでしょうか。
それともさらなる寂しさや切なさをもたらしているのでしょうか。
改めまして亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、今なお行方不明の多くの方々が「ただいま」と言える日が来ることを願います。
そして被災された方々に、昨日より今日、今日より明日と笑顔が増えていくことを
祈っております。
おかげさまでASOBOも活動を始めて5年が経ちました。
振り返ってみればASOBOの始まりは本当に小さなきっかけでした。
家に届いた一通の喪中ハガキで、友人が被災したこと、義理のご両親を亡くしたことを知りました。
あわててお悔やみに伺った先は仮設住宅。自宅も被災していたのです。
そこで久々に会った友人の娘さんは卒園を控えた保育園児で、沈痛な表情の大人と裏腹に、「じいちゃんとばあちゃんはながされたの」と話してくれました。
その拍子抜けするような元気に逆に違和感を感じました。
その小さな胸で受け止めた恐怖や、あまりに大きな環境の変化に、頭と心は追いついているのだろうか。
胸の傷は癒えていくのだろうか。
漠然と、何かできることはないだろうかと思ったのです。
そこで、保育園への支援物資の配布を一緒にしていた殿内健司と、スキー場に勤務していた田中利果に相談しました。
そして娘さんを津波の来ない雪山に招待し、何も我慢せず思いっきり遊んでもらおうという計画が持ち上がりました。
それならせっかくだから彼女の友達も招待しよう。
いやいや、それなら保育園ごと招待しよう。
それなら思いきって団体にしようか。
こうして生まれたのが「Smile Kids Project ASOBO」です。
団体といっても、1円の資金もノウハウもコネクションもありませんでした。
まずはご寄付を募らなくてはとビラを作り、スキー場にお願いしてウェアなどをお借りしたり、とにかく手探り。
そうして開催した初イベント「雪山であそぼ」
みんなで笑って遊んで。
とっても温かくて、優しい時間が流れました。
この時に感じた、
「子どもたちの感じた恐怖や悲しみは消えないけど、楽しい経験で上書きはできる」
という確信。
3人で始めたASOBOが歩き始めます。
沿岸部の幼稚園や保育園を訪問して、ASOBOの開催許可をいただきました。
スキー場でのソリすべりや雪あそびだけでなく、
5年の間に、荒天による2度の中止を除き計23回のイベントを行うことができました。
参加してくれた子どもの数はのべ 592人。
保護者のみなさんはのべ 466人。
本当に沢山の方が遊びに来てくださいました。
ASOBOのイベントはすべて手作りなので、不手際やミスも沢山ありました。
不満に思われた方もいらしたかもしれません。
それでも、沢山の「たのしかったよ」の声もいただきました。
何度も足を運んでくれた子も沢山いて、「今度アソボあるって~!」と、
ASOBOが認知されていくことも本当に励みになりました。
ちなみにイベントは基本的に参加費はいただかずに開催してきました。
参加者さんのご負担を最低限に抑えて、思い出作りをしていただくためです。
しかしその姿勢で続けてこれたのは、全国から本当に沢山のご支援をいただいたお陰です。
ASOBOへのご支援総額 4,584,954円 (2月28日現在)
※収支報告は改めてさせていただきます。
この大半が個人や団体組織からのご支援で、助成金などはいただいておりません。
ほぼ全てが、直接ASOBOへ託してくださった大切なお気持ちの形です。
全国で震災チャリティーイベントや募金をした際に、顔の見える支援先だからということで、ASOBOを選んでいただくことも度々ありました。
皆さんの、子どもたちの心と未来を思うお気持ちの大きさに襟を正しながら、
大切に大切に使わせていただきました。
本当にありがとうございます。心から御礼申し上げます。
そして、
本日お伝えしたい事があります。
ここまで皆さんのお力で歩いてくる事ができましたが、ASOBOの企画運営イベントとしてはここでひと区切りとさせていただく事にしました。
「またあそんでね!」の声に応えられない申し訳なさに本当に胸が痛みます。
しかし6年が経過した今、資金面で運営が難しくなってきたこと、現在のスタイルでの活動ニーズの減少などを鑑みて苦渋の決断をいたしました。
今後は今まで続けてきた経験とノウハウなどを、これからも子どもたちの為に活かせればと考えています。
432人
参加してくれたボランティアスタッフさんののべ人数です。
毎回子ども達と変わらない人数のスタッフさんがいてくれたから、ASOBOは怪我や事故もなく開催できたのです。
そしてASOBOスタッフは子どもを笑顔にするスペシャリストばかりです!
ですのでこれで解散、ではなくこれからは後方支援として、子どもたちの支援への関わりが持てればと思っております。
ASOBOのようなイベントを開催するので、スタッフとして協力してほしい。
幼稚園や学校でのイベントにお手伝いしてほしい。
スキーウェアなどの備品を借りたい。
など、ぜひお気軽にご連絡ください。
5年間で私たちが出来たことは本当にささやかなものでしたが、
たった1日でも、子どもたちが現実やマイナスの記憶を忘れる時間を提供できたのなら、
毎日家族を守ることに精一杯だったお父さんお母さんが、ほっと笑える時間を過ごせたなら、
ASOBOが歩んできた意味が少しはあったのかなと思います。
これまで出会った沢山の子ども達。
辛い思いや我慢を経験してきた子は、きっと人の痛みの分かる、強くて優しい子になると思います。
でも悲しい時や苦しい時は、どうか一人で溜め込まないでください。
周りには、みんなを見守る大人がかならずいます!
いつかまた、少し大人になったみんなと会えたら嬉しいです。
その時はまた笑顔でASOBO!!
これまでのASOBOをご支援くださいました皆様へ心から御礼申し上げます。
これからもASOBOセカンドステージを見守っていただけたら幸いです。
Smile Kids Project ASOBO 代表 笠松亜希子
追記:ASOBOイベント終了に合わせまして、ご支援窓口だった郵便口座を閉鎖させていただきました。ご理解のほどよろしくお願いいたします。